(6)
ダニーは焦っていた。逃げ切ることは困難なように感じた。
目の前を歩行者が横切ろうとしていた。100キロ以上で暴走する車に気づき、歩行者は驚きと恐怖の顔色で立ち止まっていた。ダニーが避けられないと観念したときだった。道路中央に青い光のボールのような球体が現れ、車を空中に飛び上げたのである。車は歩行者の頭上を越えて着地した。
「何だ。今のは、一体?」
スキンヘッドを見るとこめかみ辺りから血を滴らせている。
車の全方位をモニタリングするディスプレーは、後続の2台の車も飛ぶように歩行者を越える姿をシャープに写し出す。
ダニーは後ろを振り返り言葉を失った。涼子はシートに倒れ、整った無表情の顔が死人のように青かったからである。青い光はやがて全身を包んだ。さっき見た青い光の球と同じ輝きだった。
早瀬がなぜわが子以上に、孫である自分以上に、涼子を気遣っているのか、そのシークレットな言動の一端を知ったような気がした。よくわからないが、あの青い球体は涼子に関係があるに違いない。
早瀬が言っていた。涼子を絶対に傷つけてはならないと。そして護れと言っていた言葉をダニーは思い出していた。
宮地は3台の車を追っていた。興奮が大量のアドレナリンを血液中にぶち込む。これは事件だと確信した。宮地はすぐ映像を局にトランスミット。衛星回線なら赤坂にある局アンテナが受信するまで5秒とかからないだろう。
宮地から送信されてきた映像に、保守的な報道姿勢を堅持しているTV局制作フロアーも、その圧倒的な臨場感に色めき立った。リアルな事件現場ニュースは2、3度のテロップを入れた後、夜のゴールデンタイムに緊急報道として流されたのだ。報道局次長は宮地に喝を入れ、社長賞も手に入れたも同然だと励ました。
今朝からのハード・スケジュールで心身の疲れがピークを迎えていたのに、今はどこかに吹っ飛んでいた。宮地はマスコミの一翼を担う報道者の正義感と、とんでもないチャンスに巡り合えたという野心に燃えた。
「とにかく追え!カメラを回せ!3台のナンバープレートを撮れ」
残念なことにスモークガラスのために車内の人物まではわからなかった。
ABBA<3>I Do I Do I Do I Do I Do
COMMENT
未来人は・・・って、ここすでに未来だったか
運動不足解消にドラムを一時間叩いてきました
RUKも、たまにはダンスなどどうですか?


詩とロックが好きな25才
リンクフリー

